キルギス国林産品による地方ビジネス開発プロジェクト
国名:キルギス国, 発注者:JICA, 実施期間:2015年9月から2019年9月
キルギス共和国(以下「キルギス」)の森林は、旧ソ連時代の非効率な林業経営のため、119万ha(国土の6%:1930年)から62万ha(同3%:1966年)まで減少した。その後の植林政策の推進により、87万ha(同4.3%:2003年)まで回復したものの、植林後の保育間伐などが行われず、森林の質が低下している。
キルギス政府は森林経営改革の柱のひとつとして、共同森林管理(Joint Forest Management、以下「JFM」)制度を新たに導入することとなった。 JFMは、営林署(Leshozes、以下「LH」)・村役場(Ali-Okimotu、以下「AO」)・森林利用者(テナント)の三者合意に基づき森林利用者が国公有地の林業経営を担う制度であるが、その具体的な運用が定められておらず、実施体制が不十分であった。
このためJICAは、2009年1月から2014年1月までの5年間、「共同森林管理実施能力向上プロジェクト」を実施した。JFMを更に普及するためには、林産品の生産・加工・流通に係る知識・技術等の更なる向上、テナントに対するインセンティブの付与とネットワーク化等が課題である。キルギスはロシアやカザフスタン等の大消費地に近接し、農林産品の輸出ポテンシャルは高いが、生産・加工・流通の各段階を改善することにより、林産品ビジネスを振興することが求められている。
そこで、2013年にキルギス政府から我が国に対して「林産品による地方ビジネス開発プロジェクト」(以下、「本プロジェクト」)の要請があった。本要請を受けて2014年日10月に詳細策定調査を実施し、協力の枠組みについてキルギス政府と合意し、2015年5月21日にその内容を示した「R/D」の署名・交換を行った。
これに基づき、2015年9月より2019年9月までの4ヵ年間、キルギス環境保全林業庁(The State Agency for Environmental Protection and Forestry: 以下「SAEPF」)をカウンタパート(C/P)として、本プロジェクトが実施される。本プロジェクトは、上記R/Dに基づき、全国の林産品の生産と市場を含むLHの現況把握、JFMを活用した林産品ビジネス活動の実践とSAEPFの林産品ビジネス振興の能力向上を通して、JFMを活用した林産品ビジネスモデル振興体制が対象の各州で確立し、全国林産品ビジネス行動計画が全国のステークホルダー間で共有されることを目的として実施した。
対象区域はキルギス北部3州(イシククリ州、ダラス州、チュイ州)、ピシュケク市で、上記目標を達成するための活動としは、ターゲットとなるLHを選定し、有望な林産品と市場を特定し、LH林産品のビジネスモデルの開発計画策定、JFMを活用した全国林産品ビジネス行動計画を浸透させるためのセミナー/ワークショップをステークホルダーに対して開催、などを実施した。