南北約4,300kmで世界一縦長の国、地の果てともいえる日本から最も遠い南米の国の一つであるチリに赴任して早や3か月が経過しようとしている。北には砂漠地域もある一方で、南には1年中氷に覆われた地域もあり、北と南では気候も全く違う。
チリは1人当たりGDPが2018年にすでに16,000ドルを超えており、2018年に1月にチリ、ウルグアイ、セイシェルの3か国がOECDの被援助国リスト、DAC(開発援助委員会)リストから除外され、先進国入りしたとされる。
(参照:DAC_List_ODA_Recipients2014to2017_flows_En.pdf)
しかし、同年6月、日本政府はチリの途上国認定を行い、当面のODA事業継続を決定した。
国家の経済レベルだけで判断すれば、すでに限りなく先進国に近いチリに着任した初日には、JICAチリ支所のある新市街ラスコンデス地区のモダンな高層ビル群を見て、これは完全に先進国だと思った。シンガポールやクアラルンプールを彷彿させる街並みである。首都サンチャゴでは地下鉄が縦横に走っていて、どこに行くにも便利でるが、ラッシュアワー時は東京並みに混んでいて、3台ぐらい待たないと電車に乗れないこともよくある。
一方、チリに3か月暮らしてみて、はじめて気づいたことが色々とある。首都サンチャゴの新市街と旧市街ではまるで別世界で、大きな貧富の格差があり、住民の人種が違う。新市街ではほとんど白人系しかみかけないが、旧市街ではハイチ人やコロンビア人の多くの移民を見かける。近年、ベネズエラからの移民も大量にチリに来ているが、自分にとっては見た目ではベネズエラ人とチリ人との違いがわからない。チリ全土でサービス産業では、多くの移民が労働力となっていて、ガソリンスタンドやレストランで従業員と話をしてみると、ベネズエラ人等の移民だったりすることが多い。タクシーに乗れば運転手はコロンビア人、床屋に行けば理容師はベネズエラ人、ビルの掃除をしている人がスペイン語以外の言葉を話していてハイチ人であったりする。急激な移民の増加による社会問題として治安の悪化や貧富の格差の拡大、社会保障の問題等が指摘されている。
とはいえ、チリでは地方に行っても、そこそこに発展しており、極端な貧困地域は見たことがないし、やはり先進国の仲間入りをしたと言ってもよいと思われるが、どうだろうか。
南半球に位置するチリでは、これから7月、8月が本格的な冬を迎える。チリの魅力を徐々に発見したい。