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Chinese Weekend 2018年 No.13

岡安利治 業務調整(セネガル共和国)

日本に一時帰国するたびに、電車やTAC社のある銀座8丁目周辺で、中国語を耳にするこが日常茶飯事になっている。今回の2度目の滞在(一回め2005年から2009年)になるセネガルでも中国人が増えているだけでなく、その層が変わってきた気がする。

仏語圏アフリカ広域技術協力プロジェクト2件を扱うということで、ちょうどブルキナファッソ国に出張中、妻からメールが入っていた。「同じアパートの隣に住むリーさん夫妻が(私がダカールに戻る)土曜日の夜19時に食事に招待していたい。」という内容だ。隣人のリーさんは、30代前半で中国国有の飛行機製造会社セネガル駐在代表で、奥さんと8か月の赤ちゃんを連れてきている。アパートの一室が住居兼職場で、建築・航空機関係の受注をねらっているそうだ。

セネガルや出張する近隣国で英語を流暢に話す中国人に何度かあったことがあるが、彼のように流暢なフランス語を話す中国人に出会ったのは初めてだ。彼は中国で工学系のエンジニアになるべく、学んだあと、フランスに留学して、修士号をとったそうだ。彼は料理が大好きで、奥さんが子育てで忙しい中、朝昼晩と食事を支度する。フランスにはLarousse という有名な辞書を作成する出版社があり、仏語辞書、百科事典、医学事典など出しているが、彼の本棚には分厚いLarousse Gastronomique (フランス料理辞典)があった。その土曜日晩、彼のお手製の餃子に家族で至福はひとときを過ごした。

はす向かいのアパートにすむマダガスカル国で同じ時期に滞在していた長女の友人フランス家族のご主人モモ氏から、「最近、フランス人コミュニティで評判になっている中国マッサージにいったけど、いいぞ。俺も通っている。」といわれたのを思い出した。妻に「一緒にいってみよう。」と提案すると「予約したいけど、電話番号がわからない。」と言われる。とりあえず、二人で行ってみることにした。

Chinese Royal Massage と書いてあるドアを開けて、「マッサージをお願いしたい。」というと、困った顔をして、「少し待って、二人とも30分ずつね。」と拙いフランス語で受付の中国人おばちゃんにいわれる。また、妻の知人であるチュニジア人女性がマッサージ室から出てきて、「あら、あなたたちもきたの?私たちは旦那と娘、3人できたわ。」といわれる。とその直後、マグレブ系女性が入ってきて、「16時に予約したけど、20分遅れたわ。」というと、中国系おばちゃんは私たちにOKといったことあり、他の客も待っているので、「17時OK?」と返事をした。マグレブ系女性は「13時に電話して、16時って言ったじゃない。予約は守りなさいよ。」と怒りの声をあげて、帰ってしまった。

ほどなく、マッサージ師が出てきて、「一時間OK?」と私に提案してきたので、そのまま私は1時間、妻は30分のマッサージを受けることになった。私がうつ伏せに横になったベットを仕切る白いカーテンの向こうにはフランス系中年女性がマッサージを受けていた。始めに肩甲骨あたりを肘などでゴリゴリ押され、背中、肩、首、足と続く。「マッサージは血流をよくするために、心臓から遠いところから始める」と若かりしときに、自転車競技をやっていた際に習った気がするが、このマッサージは逆に心臓近くから始まって、末端である手足は最後である。

マッサージ師は多少の日本語と英語で時折、話しかけてくる。マッサージ師としてキャリア20年で3か月前にダカールに来る前は、上海にいて、日本人客が多いことから、片言の日本語を学んだそうだ。彼は私の体をマッサージしながら、「コンピューターの仕事多いね。」「たくさん仕事しているね。」「よく眠れないでしょう。」と次々に私の体調不良を言い当てる。

一時間が終わったときには、全身の脱力感とともに体が軽くなっていた。1時間15,000FCFA(約3,000円)と外国人価格である。妻に「あら、最近続いていた顔のむくみが取れたわね。」と言われる。確かにそういわれるとそんな気がした。その晩、ひさしぶりに熟睡した。というわけでこの週末は新世代の中国人家族との食事、ヨーロッパ系など外国人コミュニティを対象にした中国系マッサージと新しい中国を堪能した気がした。

翌週、次の出張準備と9月末に控えた13か国を招聘する国際会議の準備で、せっかく蓄えた体調の良さはすっかり萎えてしまい、再度Chinese Royal Massageを受け、その翌日、ベナン国に向かった。週末ごとのChinese Royal Massageは今後続きそうである。

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