ラオスで鉄道に乗る(復路:ウドムサイからビエンチャンへ)
小熊 誠
ラオス人民民主共和国(プロジェクト業務調整)
いよいよ帰るときが来た。また電車に乗る。例のごとく、プラットホームには表示がないので、どこに立ったらいいかわからない(写真1)。しかも、ビエンチャンの駅と違い、プラットホームが狭い上に、車掌は黄色い線より中に入るように高圧的に言い立てるため、大混雑である。そんな中、乗車。ここでもやはり、5人はバラバラ。それはもう諦めるとしても、行きとは異なる車両で、座席表示もわからない。壁に貼られた表示には、「85・86・87」という数字と「90・91・92」という数字が書かれており、間に縦の線が入っている。
別添の写真を見ていただきたい(写真2)。日本人ならどうだろう。「85・86・87」という数字の人と「90・91・92」の数字の人は対面すると思わないだろうか。つまり、85の前には90の人が座るというふうに。しかし、実際には、縦の線を境に背中合わせに座るのだ。それで、多くの人が間違って座ってしまい、人が乗り込むたびに、席を移動し、いつまで経っても車内は大混雑である(写真3)。そんな中、15時過ぎにようやくウドムサイを出発となった。行きは2時間半くらいの乗車時間だから、17時過ぎに着くことだろう。
到着間近の17時。しかし、まだバンビエンである(写真4)。何時に着くのだろう。誰に聞いてもわからない。車内はWIFIが飛んでいないため、インターネットでも調べようがない。同行したスタッフに聞いても、全く関知せず。結局、17時過ぎにビエンチャンに着くと思いきや、19時過ぎの到着となった。ここでわかったのは、行きも帰りもFast Train(快速)のチケットを旅行会社に依頼したものの、帰りはOrdinary Train(普通)だったのだ。旅行会社を通して買ったのにそんな説明すらない。つくづく、ラオスでは予期せぬことが起きる。
ビエンチャン駅に到着。大混雑の中、駅を出ると、ライトアップされた駅舎の「ナコーンルアン・ビエンチャン、万象」の文字は幻想的でさえあった(写真5)。これで鉄道による出張は終了。すでに日は暮れ、満月が大きく照らし出されている。確かに2月6日は満月の夜であった。古来から月のエネルギーが最大になる満月の夜に、人々は感謝すると言う。ウドムサイでは、13年ぶりに先生方との嬉しい再会を果たすことができた。町はずれの駅から帰る車の中で、今ラオスにいることに感謝をしつつ、いつまでも雄大に映し出されるオレンジ色の満月を一人ずっと眺めていた。『ありがとう、コップチャイドゥ、ラオス』。
【完】