ラオスで鉄道に乗る(出張先:ウドムサイ)
小熊 誠
ラオス人民民主共和国(プロジェクト業務調整)
孟賽。ウドムサイを孟賽と書くのは、なんだか音的にかけ離れた感じがするが、ウドムサイ県の県庁所在地はそもそも「ムアン・サイ」と言う。「ムアン」は市とか郡のことだから、サイ市というわけだ。このムアンというラオス語が「孟」に当てられたということだろうか。
さて、ウドムサイ駅からウドムサイ保健学校へ向かう(写真1)。ラオスの駅はどこも町中から遠いというのは聞いていた。ビエンチャン駅は町中から12、3Km。ルアンパバン駅は町中から20㎞。レンタカーでウドムサイの中心地に向かうと、なんと5分程で着いた。ウドムサイ駅から町中まではわずか2、3kmという近さだったからだ。13年ぶりのウドムサイ。覚えていないと思いきや、町中の川や橋、山の風景、バイク屋のホンダの看板まで、当たり前であるが、昔と変わらず同じ所にあった(写真2)。
よく見ると、13年前出張で泊まったゲストハウスまで同じである。そして、今回の出張先となるウドムサイ保健学校も、昔ながらの同じ建物だ。しかも校長先生は、昔の教頭先生ではないか。先生の中にも、昔会ったことある先生が2人もいた。なんと懐かしいことか。建物も人も昔のまま。当時の隊員の名前を出すと、校長先生はさっそく隊員の写真を持ってきてくれた(写真3)。今も大事に持ってくださっている。ありがたい。都会では人事異動もあり、人は変わってしまうものだが、田舎では変わらない。ただ単に、皆少し年を取っただけのことである。久しぶりの再会に皆、素直に喜んでくれる。なんて人間的なのだろうか。(写真4)
国家試験時に、校長先生と話していると、ウドムサイは山岳民族が多いと言う。普通の服を着ていて気づかなかったが、校長先生もカム族出身だそうである。そして、次の日は学校にカム族の衣装で来てくださった。粋な計らいである(写真5)。
国家試験の監督官としての任務を終え、出張最後の晩は校長先生の家での晩餐会となった(写真6)。カム族の間では、ゲストが来たときは、ラオハイというもち米をカメに入れて発酵させたお酒を飲むと言う。早速、歓迎の儀式が始まる(写真7)。ラオハイをストローで勢いよく飲む。「ラム・サマー(とても美味しい)」とカム語で言って、また飲む。楽しい!こんな習慣はのんびりした田舎でこそ残っていくのだろう。こうしたカム族の習慣は、時代が変わっても、残っていってほしいものである。
【次号に続く】