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アソシエイトレポート 2023年4月

ラオスで鉄道に乗る

小熊 誠
ラオス人民民主共和国(プロジェクト業務調整)

【はじめに】

タイのノンカイからバンコクで夜行列車に行ったのは昨年8月のこと。それから、半年後の2月、ラオスの看護師・助産師国家試験の監督業務で、幸いにもラオスの鉄道に乗る機会を得た。日本では鉄道は身近な存在である。東京都内の路線もどこでもつながっているし、目にする機会も多い。またお隣のタイも、フアランポーン中央駅は市中にあるし、市内の幹線道路の上には高架鉄道(BTS)が走り、地下鉄も走っている。空港からはエアポートリンクもあるし、タイ人にとってもすでに鉄道は身近な乗り物となっている。

では、ラオスはどうか。昨年12月の開通を機に日本でも報道されたせいか、「ラオスに新幹線ができたのですね」とか「中国まで高速鉄道がつながったのですね」という連絡を友人からも頂いた。でも、ラオスにいる私には駅がどこにあるかもわからなければ、電車を目にすることもなく、『へ~、そうなの?』という感じであった。というのも、ビエンチャン駅は市内中心部より10㎞以上離れた郊外にあり、電車はそこからさらにビエンチャンの外に向け、北上していくからだ。

【時刻表】

出張する段になって、印刷された一枚の時刻表を見る。これを見て、ようやくラオスの鉄道の様子がわかってきた。どうやら日本やタイの鉄道とは趣が違う。日本やタイで鉄道と言えば、何分おきに、何本も走り、各駅につながり、それがさらに延伸して他の町につながっているというイメージだが、ラオスの鉄道は、始発駅のビエンチャンから終着駅となる中国国境の町ボーテンまで行って、戻って来るのみだ。しかも、終着駅まで行く電車は一日2便しかない(写真1)。走行距離にして406km。日本でいえば、東京から盛岡までの距離を行って帰って来る。一見長いようであるが、タイで言えば、バンコクからブリラムまでの距離で、遠くノンカイまでには及ばない。

今回の出張先はラオス北部のウドムサイ県である。距離にして339km。概ね、東京から名古屋までの距離となる。日本の新幹線では1時間40分。ラオスのFast Train(快速)では3時間、Ordinary Train(普通)では4時間となる。ウドムサイまでの電車は一日3便しかなく、快速はビエンチャン駅から3駅目、普通の各駅電車でも6駅目である。いかに途中、駅がないかが時刻表からも見てとれる。

【チケット購入】

さて、チケットの購入だ。今回は、カウンターパート含め、5人での出張である。鉄道のチケット売り場は10㎞以上離れたビエンチャン駅か、ビエンチャン市内のデパートのチケット売り場の2カ所しかない。しかも、乗車2日前にならないと購入ができず、何時間も並んでの購入となる。ただ手数料を取って、チケットを手配してくれる旅行会社もある。とはいえ、要は旅行会社の人が代わりに並んで買いに行ってくれるだけのことである。旅行会社から乗車2日前に連絡があり、無事チケットを入手することができた。ただの薄っぺらい一枚の紙である(写真2)。あとは、当日、出発時刻1時間前にビエンチャン駅に行き、チケットとパスポートは忘れずに持っていけばよい。当日は、朝7時半の出発であるため、自宅を6時に出て、6時半に駅に行くことになる。いよいよラオスで初の鉄道。しかも、13年ぶりのウドムサイ。楽しい鉄道旅になりそうだ(写真3)。

【次号につづく】

写真1 時刻表
写真2 チケット
写真3 ラオスの鉄道地図