5月26日、沖縄・宜野座村で見た皆既月食
山城 吉徳
沖縄在住・視聴覚専門
お気に入りのYouTuberカメラマンが、4月の上旬、「2021月5月26日はスーパー皆既月食!今から準備をしておこう!」という動画が配信されたので、あっ、これは何か面白いことが起こるのではと思い、私も撮影することにした。「皆既日食」の撮影は経験があったのだが、「月食」は撮影したことがなかったので、これは良い機会とだと思ったことと、「スーパー皆既月食」という響きにすっかり惹かれてしまったからである。
とりあえず撮影地を自宅から車で約1時間以内のエリアを候補に上げ、沖縄県宜野座村で撮影することにした。宜野座村にはヒーピービーチ(キャンプ場でもある)という駐車場が完備されたビーチがあり、水平線での月の出も見えることと、何より、普段はあまり人がいないので、じゃまが入らずに撮影が楽だと思ったからである。
5月26日の月の出は19時8分頃なので、17時半にはビーチに到着し、撮影の準備を始めた。また、皆既月食の欠け始めは18時45分からなので、月が水平線から出たときにはすでに月食は始まっている状態でもある。
18時頃のビーチ水平線には雲が集っており、今日は撮影できないかと思っていたが、19時10分頃には雲の隙間からうっすらと月が顔を出したので、これはラッキーと思った。その後、また雲に隠れ、また、雲の間から顔をのぞかせ、というのを繰り返しながら、20時前には月食がはっきりくっきり見えるようになった。
しかし、周りを見渡すと、普段はガラガラの20台ほど駐車できるビーチ駐車場がすでに満杯となり、近隣から多くの人達が集まって来ていた。まるで何かのイベントを楽しみにして集まったようで、ガヤガヤと騒がしく、撮影している私のカメラを後ろから観ている者もいた。そして、気になったのは望遠鏡や双眼鏡を持っている人がほとんどいないことだった。
皆既食の始まりが20時9分頃、そして皆既食の終わりが20時28分頃である。
皆既月食が始まったといっても、月がただ単に真っ黒になるだけで、何も面白いことは起こらなかった。 これが皆既日食だと鳥たちが騒ぎ、周りが真っ暗になり、などと周りの変化が楽しめるが、月食は、満月から新月までの月の満ち欠けの過程を短時間で見れるというだけであった。
今回のスーパームーンでは、月食の際、月の色が明るいオレンジ色や暗い茶色になると言われていたが、せめて双眼鏡でも持っていないと確認はできないし、肉眼でははっきりとは確認できないであろう。
集まってきた人達は私と同じように野次馬根性で集まっているので、何も変化が起こらない皆既月食に気が抜けたとのか、皆既月食が始まり始めると、肉眼で見てもそれほど面白い現象ではないので、ぞろぞろと帰り始め、皆既食の終わり頃にはほとんど人がいなくなった。
月食が完全に終わったのが22時頃で、その頃には、人気のない普段のビーチに戻っており、夜釣りを楽しむ数名の男性が浜に座っていた。
次に日本全国で皆既月食が見られるのは、1年半後の2022年11月8日だそうで、また、次回のスーパームーン皆既月食は2033年10月8日だそうである。