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アソシエイトレポート 2020年6月

新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」

碓井 哲朗
技プロ業務調整員(ミャンマー)

退避指示のため急遽帰国してから早2か月半が経った。帰国前に体調を崩し自己隔離の当初は寒くて風邪気味なった。そのためやはりコロナウイルスに感染したのではないかと心配し戦々恐々だった。しかし幸い感染という状態ではなかったようで健康状態は良好。改めて何はともあれ健康が一番大事だと思った。

コロナ感染が今後も続くと思われる昨今だが近くのスーパーに買い物に行くのも正直まだ気が引ける。潔癖症でもなければ神経質ではないのだが気苦労する。入口に置かれたカゴの取っ手を握るとき、棚に並ぶ商品を選んで取るとき、狭い通路で人とすれ違うとき。店内では無意識のうちの足早になっているため買い忘れをする。レジの前で待つときや、レジ打ち(今はレジでピッか?)をする人の手先や、最後はカゴの底を見るときも。あーとっても疲れる。店員の人たちはこんな状況でも毎日必死に仕事をしているのに。

帰宅時は反対側からマスクをつけずに歩きてくる人を避けながら歩いたりするが、「なんでマスクをせずに出歩くんだ」とそのとき心の中でつぶやく自分がいる。マスクを入手できなかったり、つけられない事情があるかもしれないのに。知らないうちの自分自身は心の中の不安を払拭するために防衛機制の心理状況を作り出しているのならば恐ろしいと実感する。

コロナウイルスの感染者への誹謗中傷も報道される。感染者の個人情報がSNSで拡散されたり、感染者が出た店舗情報などのデマが流布される。まるで犯罪者を摘発するような行為が「正当化」されるような雰囲気がいたるところに燻っているように感じる。

厚生労働省は新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を国民に対して提示した。そこには買い物、娯楽・スポーツ、公共交通機関の利用、食事、イベント等への参加時における感染予防のための行動を提示している。レストランでの座り方から2メートル間隔などどれでも大切だ。しかし同時に必要なのは「新しい心理様式」ではないのだろうか。コロナウイルス感染者を差別すればウイルスがなくなるわけではない。そのたの感染者への心のケアーと、感染者に近い人たちがどう理解し対応することが大切かを教えてもらいたい。

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