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アソシエイトレポート 2020年5月

千の丘の国で活躍する自転車輸送 ルワンダ

岩田 章一
専門家(ルワンダ共和国)

前回の報告で発展しているルワンダについてお知らせしましたが、ルワンダのユニークなところについて今回はレポートします。 国を何かに例えて呼ぶことがあると思います。ルワンダは国中起伏に富んだ地形から、丘が沢山ある国、千の丘の国(Thousand Hills)と言われています。坂が多く、距離にして100mほどの平地を探すのが大変なぐらいの丘陵地形です。首都キガリでは、千の丘ホテル(Hôtel des mille collines、ホテルミルコリンズ)と名付けられた老舗のホテルもあります。このホテルは、映画「ホテル・ルワンダ(2004年公開)」の舞台になっています。(映画は、1994年のジェノサイドが発生した時、民族や国籍に関係なく多くの人命を救ったホテル従業員がモデルになっています)。

私が赴任した2018年は高層ビル、舗装された道、高級車の多さなどすごく発展している印象ですが、ジェノサイド後のJICAが事業を再開した2006年頃は、まだ舗装された道も少なく、外食できるレストランも数軒ほどしかなかったようです。

話しは逸れますが、ルワンダの農業関連の主な輸出品は紅茶、コーヒーで、これらがGDPの約3割を占めています。また、ルワンダはカロリーべ―スの食料自給率は高く、輸入に頼らなくても大丈夫なようです。食料自給率について調べてみたらカロリーベースと生産額ベースと2種類あるようですね。日本はカロリーベースを採用しているようで2017年度は38%と低い印象です。品目別にみると米や野菜、卵は70~100%あるようで、小麦や大豆は10%前後と低いようです。

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そんなルワンダの特に地方部は、今でも開発が遅れています。道路状況に関しては、国境に通じる主要道路は舗装されてはいますが、一本外れると未舗装の凸凹な道路となります。また、他の多くのアフリカの国と似て、国民の8割が農業(小規模農業従事者です)に関連して生業を立てており地方部に住んでいます。そんな小作農に従事している人の現金収入は、作った農作物を換金して得るしかありません。最近はスマホの普及率が上がり、市場価格を把握できる農民も増えたので、業者に買い叩かれることは少なくなっているようですが、それでも農作物を運搬する道路や倉庫などのインフラは改善されておらず、農産物を運ぶトラックや車などを含む物流システムも農民にとっていいものではない状態です。農村に住む農民の収入を向上するには、品質のいい農作物を作るのも大事ですが、基礎インフラの整備も大事なのではと思います。

話しは逸れますが、ルワンダの農業関連の主な輸出品は紅茶、コーヒーで、これらがGDPの約3割を占めています。また、ルワンダはカロリーべ―スの食料自給率は高く、輸入に頼らなくても大丈夫なようです。食料自給率について調べてみたらカロリーベースと生産額ベースと2種類あるようですね。日本はカロリーベースを採用しているようで2017年度は38%と低い印象です。品目別にみると米や野菜、卵は70~100%あるようで、小麦や大豆は10%前後と低いようです。

さて、ルワンダの面積は四国の1.5倍ほどと小さな国ですが、それでもインフラ整備が整っていない地方部と首都の物流は大きな課題となっています。特に、丘だらけの国では、坂が多く且つ地形に沿ったカーブの多い道路のため、距離数に比べ時間が係る状況となっています。道路は対面通行になっていますが、坂道ではトラックやバスが引き起こす渋滞が多く、交通事故も多くいい環境とはいえません。

そんな道路環境でありますが、小規模農業者の輸送手段のメインは、いまだに自転車になっています。その家計を支える自転車は、昭和のお父さんが乗っていた頑丈な自転車(中国製)。その自転車に詰めるだけ荷物を搭載して、最大限の荷物を一度で輸送できるよう頑張っています。家計を支える自転車を乗りこなすエースは、お父さんだったり、お兄さんだったりと男性が担っています。エチオピアでよく目にした輸送手段に使われているロバ。ロバのそばには女性か子供が多かったのと大違いのルワンダです。

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しかし、その運搬には坂道が大きな課題として、エースたちを苦しめています。下り坂では、ここぞとばかりに全速力で駆け抜け、行く手に待ち受ける登り坂を出来るだけ登り切っておきたいと必死になって疾走しています。また、ブレーキが利かないのか車線の反対側を逆走し暴走している自転車もいます。下り坂が渋滞している時は、自転車に追い越しされることもよくあります。そんな自転車ですが、大量の荷物を積んで危険水域を超えたスピードで爆走している姿は、見るからに危険なかおりをプンプンさせています。

反面、長い登り坂では大きな荷物を荷台に積んで、一歩一歩汗を垂らしながら自転車を押して登っている姿が印象的です。この状況を見るたびに、電動自転車が普及すれば売れるだろうなって思ったりしています。

坂の多さは自転車運搬の人だけでなく大型トラックも影響が出ています。多くの荷物を積んで坂を登っていくには、スピードが出せないので渋滞の原因にもなっています。しかし、この状況をちゃっかり利用している人もいます。長い登り坂は体力的にキツイ自転車野郎にとって、徐行速度程度でしか走れない大型トラックは、まさに神様からのプレゼントです。荷台に掴まり省エネ走行している写真のような光景を多く見かけます。なんとも微笑ましい一瞬で頑張れよって声をかけたくなってしまいます。

中国発の武漢肺炎ウィルスの影響で、ロックダウンや国境封鎖をして経済が悪化している状況を考えると、国内生産を増やすことは国を守るうえで重要なことと気づかされました。そして、それらを国民に届ける物流に関するインフラは、経済活動の根底にあるような気がしました。

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