モモの話

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小村浩二  ヨルダン在住

企画調査員(ボランティア事業)

 

今度はモモである。

3月には、アーモンド、スモモ、モモなどの花をあちこちに見ることができた。当たり前であるが花の次は実である。その時期が到来して店先におもしろい形をした果物を発見した。一目見るなりこれは食べやすい、品種改良した人をアッパレと賞賛したくなった。トルコ以来、モモは皮ごとかぶりついて食す。だからこその形である。そう平べったいモモなのである。写真を見ていただければ一目瞭然。

生まれてこの方、初めて見た平たいモモ。調べてみたら我が国でも栽培しているそうである。栽培地が限られ生産量も多くないことから知る人ぞ知るモモだったようである。今やインターネット通販で産地からお取り寄せできるようだが、生産量は相変わらず多くなく高価なモモであるようだ。

さて、このモモは中国が原産で原種に近いモモだそうである。「蟠桃(ばんとう)」と呼ばれ、西遊記や中国神話にも登場するそうである。座禅桃、平桃(ぴんたお)、王母桃、仙桃とも呼ばれる。英語では、donut(doughnut) peach, UFO peach, flat peach, pan tao peach, Saturn peach, saucer peachなどの呼び名がある。この桃、中国からアメリカに渡り品種改良されてヨーロッパに、欧米ではポピュラーだそうである。

中国神話に話を戻す、崑崙山に住む西王母が育てていたモモが「蟠桃」であり数千年に一度しか実をつけないとされた。この蟠桃を食すと不老長寿となるとされた。このモモ園の管理人を仰せつかった孫悟空、西王母の宴会に呼ばれなかったことを根に持って盗み食いしたモモがこの蟠桃だったとのことである。

エデンの園には「知恵の樹」と「生命の樹」があるとされる。21世紀のヨルダンでは「知恵の樹」らしい禁断の果実バナナと「生命の樹」つまり不老長寿の蟠桃を産する。エデンの園がどこであったか知らねども産地直送のありがたい果物を食しつつ信仰が異なると効き目はあるのだろうかとの疑問が湧いた。先ほど食したバナナのせいか知恵がつくとありがたい話も台無しである。