ベナン国国立図書館

ベナン 岡安利治  

            母子保健プログラムアドバイザー

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日本ではよく耳にする母親学級(最近、日本では父親学級や母子学級だけでなく、祖父母学級もあるようである)であるが、アフリカではまだ行われている国は少ない。

モロッコ国では日本の母子保健プロジェクトやその後の、個別専門家派遣で、全国的に母親学級が公立保健施設(2013年の保健省データで一次公立保健施設の48%)で実施されている。第3国研修という枠で、ベナンからモロッコでの母子保健研修で母親学級を視察してきた医療従事者(主に助産師)、日本で母親学級を視察してきた保健省関係者、また保健分野の青年海外協力隊員等が協力して、ベナンでも経済首都があるアトランテック・リトラル県の20数か所の公立保健施設を中心に母親学級が行われている。2013年11月には保健省・県保健局関係者と母親学級ガイドライン作成のためのモロッコミッションを実施した。その後、数回のワークショップを行い、印刷業者も選定し、最終校正が終わり、ようやく、今年10月に印刷にかけることになった。

最近の他国でのJICAが協力したガイドラインや政策文書をみると、ISBN番号が割り当てられている。ISBN番号とは、本の片隅に記載されている世界共通で図書(書籍)を特定するための番号で、私達も技術移転のための専門書の購入依頼する際に、記載を求められる。セネガルで会った専門家にISBN番号取得方法を聞くと、「簡単ですよ。その国の国立図書館にいって、手続きすれば、簡単にでますよ。」と言われた。ベナン国の保健セクターでの各種ガイドラインや政策文書をみても、ISBN番号はなく、保健省関係のまわりにきいても、わからず、印刷業者もきいてみたが、「首都ポルトノボにあるときいたことがある」が唯一の情報だった。

インターネットで検索をかけると、国立図書館サイトはないけれど、住所らしきもの(モスクの手前)が記載されていた。最終印刷物にISBN番号を挿入するために、国立図書館に向かった。建物はかなり老朽化しており、とても巨大な書庫があるとは思えないが、ISBN番号と書籍登録の担当者を探した。ちょうど昼休み(ベナン国省庁の昼休みは12時30分から15時)が始まったところで、いやそうにでてきた担当者の女性は、「どれが書籍?印刷業者の見積もりもってきている?登録料は7500FCFA(日本円で1500円程度)。」と言われ、「これが最終原稿で、印刷業者の見積もりはもってきていないんだ。コトヌーからきたけど、また来ないといけないのか?」と返答すると、「いいわ。じゃ登録料払って。これが番号。このページにISBN番号、最後のページに書籍登録番号をいれてね。製本が終わったら、4部ここに納めるのよ。」と書籍名とISBN番号を鉛筆で登録簿に記載して、あっさりと終わる。リサーチセンターで国立図書館に納められている書籍を閲覧できるそうであるが、長い昼休みが終わるのを待てず、国立図書館をあとにした。

それから2か月、製本ができたものの、出張や研修が重なって、ようやく、国立図書館に4部の製本された「母親学級ガイドライン」をもって、出掛けた。担当の女性も日本人は珍しいようで、おぼえていてくれた。「この国立図書館に所蔵している書籍のISBN番号をインターネットで検索したら、みつかるようになることはあるのかなあ?」と聞くと、「それは将来のプロジェクトね。」とあっさり言われる。また「この母親学級ガイドライン、いつ国立図書館の書庫に入るの?」と尋ねると「見てごらんなさい。ここに並べている書籍の登録が終わったらよ。」と返答があり、確かにたくさんの4部づつの書籍が積み上げられていた。

書籍登録部署を後にして、「リサーチセンター」に向かった。敷地内のやはり老朽化した建物の一室だった。室内には5-6名若者がいた。リサーチセンターというから、ドナー支援のコンピュターぐらいはあって、書籍を検察できるのかと思ったら、甘かった。リサーチセンターにはいってすぐ、古い製本された文献目録と、製本でなく、単に印刷して、バインダーで閉じてある文献目録が数冊積み上げられている。1975年から2014年までで、計14号の文献目録があった。脇には使用時間と名前、職業、連絡先を書く登録簿があり、利用者のほとんどが「学生」と記載していた。図書館司書らしき女性に書籍の探し方を尋ねた。

「ここにある文献目録は年代別に分かれれていて、それぞれの目録は分野別に

並んでいるし、後ろの方に著者の名前が書いてあるから、その番号を教えて。ちなみにどんな本を探しているの?」と言われ、「保健医療関係のベナン国で出版された書籍を閲覧したいのだけれど。」というと、「ここのスペースは貸し出せる本が並んでいていて、ベナン国で出版された書籍は書庫なのよ。ちょっと待っていて。」と室内につながっている隣の部屋にいってしまった。数分後、6冊の本がでてきた。完全に手作業である。どの本にも値段の記載がない。非売品ばかりなのであろう。

1冊、「ベナン国の保健システム」という本があり、出版社名や連絡先を探したが、記載していない。「コピーってできるの?」と聞くと、「コピー機はないし、コピーは禁止だし、この場所だけの閲覧だけで、持ち出せないわ。でもコピーしたいなら、特別配慮してあげてもいいわ。」と言われる。ちょうど、次の仕事の約束時間が迫っており、特別配慮にもお金と時間がかかりそうなので、「とりあえず、(三軒しかないが)コトヌー市内の本屋探してみて、なければ、また来るよ。最後に質問だけど、日本では日本で出版される民間出版物は、国立図書館に納本が(1冊)義務付けられていて、小売価格の50%を国立図書館が払ってくれるそうだけど、ベナンは納本するほうが払うだけなの?」と聞くと、「そのとおりねえ。」と返答があった。最近の日本の新聞記事で、やたらと定価の高い民間出版物が国立国会図書館に納品されて、販売されている形跡がない本が実在するという記事を読んだことがあるが、予算の少ないベナン国省庁では夢のような話である。(以上)

 

ベナン国国立図書館入口

ベナン国国立図書館リサーチセンター