トルコ ギレスン A to Z

dut

クワの実

小村浩二

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ギレスンには、ヘイゼルナッツ以外にも特産品がある。シェビンカラヒサルのドゥット・ペクメズ(dut pekmez)、ペスティル(pestil)、キョメ(köme)である。これらの原料となるのがドゥット(dut)、クワの実である。6月頃から8月にかけて収穫される。

シェビンカラヒサルの町は、標高1,405メートル、ギレスンの沿岸部から山ひとつ越えた内陸部に位置する。山ひとつ越えただけで気候はがらりと変わり、乾ききった大地が広がる。この地には、ギョルアヤー(Gölayağı)とチーイトゥリ(Çiğitli)と白い実がなるクワがある。暗紫色の実をつけるものもある。ギョルアヤーは生食及び干しクワの実に適しており、チーイトゥリはペクメズ、ペスティルの原料として使われている。用途に合わせて品種が分化しているくらいだから古い歴史を持つのだろう。

ドゥット・ペクメズは、収穫した実を鍋で煮詰めてからさらに天日で濃縮したシロップ状のものである。太陽の恵みを最後の最後まで濃縮してできあがる。ドット・ペクメズは、ビタミンB1、B2と鉄分がハチミツよりも豊富とのことである。最近では、健康食品としても見直されている。ペスティルは、ペクメズにハチミツ、ミルクそして小麦粉を加えて調整してさらに煮詰めた上で布に広げて乾す。仕上げは布からはがし折りたたむ。キョメは、ハチミツなど加えた調整済みのものに糸に通したクルミを浸し取り出しては乾かし、また浸してを繰り返す。シロップがたっぷりとクルミを包み込んだところで乾かして仕上げる。二つともに素朴な昔懐かしいお菓子といった感じである。

それもそのはず、15年ほど前までは冬場の甘味料、お菓子として自家消費していたものだそうである。これが商品化されてお土産として重宝されている。材料となるクルミは地場産で間に合わないほどである。

甘いものに飢えた世代(親の目を盗んで砂糖を舐めたような)は、お茶請けにお土産にこれまで同様購入するだろう。ものの溢れた時代に育った世代、新たなお客となってくれるだろうか。新規顧客開拓のための商品開発が必要なのではないだろうか。伝統的な地域の特産品も時代の要求に応じた変身が待たれる。

プロジェクトで何かできないだろうか。同僚曰く、ぜいたく品のひとつだ。所得が向上し生活にゆとりができ、帰省や観光のついでにお土産を買う。日持ちがしてうってつけの品、まとめ買いは一人100トルコ・リラ(約5千円)以上が普通、大丈夫だ。

だからこそ、今から準備が必要なのでは?

 
 
 

        バスセンターの売店                        ペスティル                       キョメ(両脇棒状のもの)

トルコ ギレスン A to Z

Emekli

定年退職者

トルコでカフェといったら定年退職したおっさんたちがたむろするところである。モスク近くのカフェで茶をすすり、新聞を回し読みし、バックギャモンなどに興じて日がな一日すごしている、田舎に行くとどこでも見られる風景である。

こんな風景に入りこんで道でも尋ねようものなら一杯のお茶では用をなさない。顔に刻まれたしわにいやが上にも歳を感じさせられる。が、歳を聞いて驚かされることが多々ある。見た目よりも断然若い。加えて60歳に達していないことがざらである。

なぜこのようなことが起こるのか。

トルコの定年制度による。トルコではEU加盟に向けて2003年5月に新労働法が採択された。これにより定年制度も改正され退職年齢は、男女ともに65歳となった。しかし、現在は移行期間中であることから旧制度による定年退職者がいるのである。その旧制度では、女性が20年間、男性が25年間の勤続年数で定年退職でき年金を受給できるのである。極端な例として、中学卒で働きはじめた男性40歳で満期手続きして年金を受給できる。実際にそのような人に会ったことがある。

年金では、こんなこともあった。友人の田舎を訪れたときのこと、年老いた両親の世話をするというか世話になっている娘のいる3人世帯が注意をひいた。生活は父親の年金だよりという。父親が亡くなるとどうなるか。父親の年金を母親が相続するのはわかる。トルコでは、娘も相続できるというのである。もちろん娘には旦那がいないという条件がつく。ここからがおもしろい。父親の年金目当てに偽装離婚。また、母と娘による年金の相続をめぐる骨肉の争い。もちろん今では制度が見直されて・・・・・・。


ヘイゼルナッツ、お茶のモノカルチャーに若くして年金生活、東部黒海地域はこのような一面をももっている。

定年を機にUターン、また地元でも新規に農業に取り組むわりと若い定年退職者たちがいる。こういった人たちが新風を吹き込んでくれることを期待している。


 

カフェの店先で